冷え性の要因について

冷え性が原因でおこりうる病気

冷え性が原因で起こりうる病気(体温が下がると起こる症状)

東洋医学では“冷えこそ万病のもと”と考えられており、『冷え性』は単なる「手足の冷え」だけですむ問題ではなく、痛みやこり、風邪をはじめとする気管支炎や膀胱炎などの感染症の原因や膠原病やガン、動脈硬化、心筋梗塞なども冷えと深く関わっています。

【カラダが冷えている状態の体温】

体温35.5℃(低体温状態)が恒常的に続くと、
・アレルギー症状の出現
・自律神経失調症状の出現
・排泄機能の低下
などが起こります。

体温35℃(さらに体温が下がった状態)はガン細胞が最も増殖する温度である。

【主な症状・病気】

@アレルギー性鼻炎
冷えで自律神経の乱れや免疫力の低下があると、アレルギー反応が起こりやすくなります。アレルギー症状が鼻炎として現れるのは、冷えて血めぐりが悪くなったことによって、体内に余分な水分がたまってそれをカラダが鼻水にして出そうとするからです。
(東洋医学的見解)
A皮膚病(湿疹、ジンマシン、アトピーなど)
通常、カラダは冷えると体内の余分な水分を体外に排泄しカラダを温めようとしますが、体温が低下し過ぎるとその機能は低下してしまいます。皮膚を通じて余分な水分や老廃物が体外にうまく排泄できない状態が皮膚病の症状を起こします。(水毒症状)
※「水毒症状」・・・体内に余分な水分がたまり、排泄できない状態。
Bメニエル症候群(水毒症状が現れた病気[漢方的見解]T)
平衡感覚を司る内耳のリンパ液という水分が過剰になって起こります。めまい、耳鳴りが起こり、ひどくなると吐き気や動悸がしてくる病気です。 メニエル症候群になると、カラダは症状を改善するために嘔吐して体内の水分(胃液)を少しでも減らそうとします。また、代謝を上げて水分を体内で消費しようとすることで、脈拍数の増加を図り、それが頻脈、不整脈の症状となって現れてきます。
Cうっ血性心不全(水毒症状が現れた病気[漢方的見解]U)
心臓の力が低下し、血液をカラダの隅々まで運べなくなると同時に、全身に行った血液が心臓に十分に戻りづらくなり、まずは下肢にはじまり、肺、肝臓、腹膜などに水分がたまりやすくなります。肺水腫(咳、呼吸困難)、うっ血肝(肝腫大)による肝機能障害、腹水などとして、水分がカラダのいろいろな臓器にたまってしまい、尿の排泄量が少なくなってしまいます。
D膀胱炎
冷えによる血行不良が細菌を招き、同じく冷えにより免疫力が低下している状態で大腸菌などの細菌に感染すると細菌が膀胱内で繁殖し、炎症を引き起こし、頻尿、排泄時に痛みが出ます。その症状が頻繁に続き、改善を怠ると、場合によっては40℃に近い発熱を生じ、腎盂腎炎の症状を起こすこともあります。慢性腎盂腎炎になると、腎臓に重度の障害が出ることもあります
E膠原病
免疫機能に異常が起こり、細胞どうしを繋ぐ結合組織に炎症がおこる病気の総称です。
膠原病と定義されている病気は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、結節性多発性動脈炎及びリウマチ熱(リュウマチ熱)と呼ばれるものなどがあります。
原因は不明で、多くの病気があり、症状は一定ではないことが特徴です。発病初期に起こる共通的で典型的な症状には、原因不明の発熱、関節や筋肉の痛み、皮膚に赤斑ができて黒ずむ、手足が白くなったり紫色になる、などがあります。
F高血圧、脳卒中(出血・梗塞)
高血圧は高脂血症からくる動脈硬化が血管を硬くし、血液の通りを悪くして血圧を上げるという場合があります。また、カラダ(血管)が冷えていることにより血管が縮まって血圧が上がってしまう場合もあります。そして、加齢と共に下半身の筋力が衰えてくると、筋肉の発達と共に増生する毛細血管が下半身に少なくなるため、下半身に配れない血液が上半身に集まってきます。それも高血圧の表れであります。さらに、この血液がカラダの一番上にある脳に集まってあふれ出た状態が脳溢血(脳出血・脳梗塞)となります。
G生理不順、生理痛、更年期障害、子宮筋腫
大半の女性のお腹は下腹部が格段に冷えています。冷えたところは血行が悪いことを意味し、病気が起こりやすくなります。血液は栄養、酸素、水、白血球、免疫物質をかかえて全身を回っていますので、血行が悪いところは必要な血液が行き渡っていないということとなります。ヘソより下の下腹部には子宮、卵巣が存在し、このように下腹部が冷えている女性は、子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮や卵巣のガンが起こりやすくなります。下腹部(下半身)が冷えると、そこに存在していた血や熱は上昇していき、のぼせ、息苦しさ、肩こり、吐き気、咳、発汗、イライラ、不安、不眠などの症状をカラダが訴えるようになります。これが、更年期障害と言われるものです。
Hガン
ガンは熱に弱く、逆にカラダを冷やすとかかりやすくなる病気です。  ガンになりやすい臓器は、胃や大腸、食道、子宮、卵巣、肺といった管腔臓器です。これらは肺胞が周囲にしか存在せず中空になっているので、臓器全体としての温度が低いことが特徴です。そのうえ、外界と通じているので、さらに温度が下がります。日本人のガンによる死者が多 い理由は日本人の体温が年々低下しているからと言われています。

冷え性

冷え性とは、病気の症状を指すのではなく、あらゆる病気の基礎となる“プレ病気”、いわゆる『未病』です。冷え性の原因のほとんどが自律神経失調によるものといわれています。自律神経が失調すると交感神経が興奮し、血管が痙攣(痙縮)して細くなります。痙縮の影響は、特に末梢の毛細血管に強く現れ、もともと細い血管が痙縮でさらに細くなります。よって、温かい血液をカラダにおくることが出来なくなってしまい、副交感神経がうまく反応せず、冷えを回復しづらい環境をつくってしまい、冷え性体質となってしまうことになります。

皮膚感覚の故障

人が外部気温の変化に対し、『寒さ』を最初に感知する部分は皮膚感覚ですが、この皮膚感覚が何らかの関係で、正常に働かない場合を指します。

(要因)

  • @生活空間におけるエアコンの普及により、室温が人工的に調整されることから、人間が本来保持している体温の季節調節機能が低下する場合。
  • A窮屈な靴や下着や衣類の着用や下半身の薄着をすることにより皮膚の温度感覚が鈍る場合。

自律神経の失調

自律神経とは、自分の意思とは関係なく、内臓や血管などの諸器官の働きを調整している神経です。血管内を絶え間なく血液が流れているのも自律神経の働きによるものとなります。 自律神経には活動の神経である交感神経と休息のである副交感神経があります。その両者の適切なバランスを保つことにより、消化吸収、血液循環、呼吸、生殖、排泄など生命維持に不可欠な機能の調節を行っています。寒冷刺激に対しては交感神経が反応して寒さから身を守り、温熱刺激に対しては、副交感神経が反応して冷えを回復させる働きをします。我々人間は、この交感神経と副交感神経とのバランスにより成り立ちます。よって、上記生命維持に必要な機能調節のバランスが崩れた状態が自律神経の失調と呼ばれています。

交感神経・副交感神経のバランス不調

交感神経と副交感神経のバランスとは

体温35.5℃(低体温状態)が恒常的に続くと、
・アレルギー症状の出現
・自律神経失調症状の出現
・排泄機能の低下
などが起こります。 体温35℃(さらに体温が下がった状態)はガン細胞が最も増殖する温度である。

【自律神経により“熱”が身体に配られるしくみ】

身体の中も外も丁度良く温かくなります。
あたたかいときは副交感神経が優位になり、毛細血管が開く。 熱が体内にこもらないように放出されるため、手足の先までぽかぽかになります。 リラックスしているとき、睡眠時も同じ状態になります。

【自律神経における交感神経と副交感神経の正常なバランス】

※自律神経はこの双方が適切なバランスの上に成り立つ。

【自律神経における交感神経と副交感神経のバランスが悪い場合】

身体の熱をキープするために手足が冷えます。
自律神経失調症のほとんどは、交感神経興奮型です。交感神経が興奮すると血管が痙攣(痙縮)して細くなります。
冷え性の人はこの緊張状態が継続的に続くため、絶えずからだが冷えていると感じます。

※温かいお風呂に入ったり、温かいものを飲んだとしても神経が緊張状態なので、根本的な冷えを解消することができない。
(例、お風呂を上がった後、すぐに冷えを感じる場合など)

血液循環不良

冷え性の人がいつも特定の部分の冷えを訴えるのは、そこに温かい動脈血がうまく流れていかないからです。血液の循環が悪くなる原因としては、自律神経の失調を原因とするもの以外では、血管自体あるいは血液自体に問題がある場合があります。その原因は下記の3つとなります。

@血管自体に問題がある場合
手足の動脈硬化、あるいは血栓ができて血管がふさがっていて塞栓症などが原因で起こるケースです。これらの場合の症状としては、いずれも、冷えている部分が白色や紫色などに変色しているのが特徴で、このような症状がみられるときは、すぐに医師の診断を受ける必要があります。
A静脈のうっ血
カラダのある部分に冷たい静脈血が滞っている状態で、こうした静脈血の滞りを「静脈のうっ血」と言います。温かい動脈血がその部分の入り口まで流れてきても、出口が静脈血でいっぱいなため、温かい動脈血をその部分に取り入れることが出来ない状態です。そして、この冷たい静脈血のうっ血がその部分の冷えを生み出します。
静脈血のうっ血は、手足のほか、下腹部にもよくみられる症状で、とくに骨盤内うっ血は、女性の腰の冷え性に多くみられます。女性の下腹部には子宮や卵巣など多くの臓器があり、つねに大量の血液が循環しています。これらの臓器は女性ホルモンによって微妙にコントロールされており、非常にバランスを崩しやすいという特徴があります。これらの臓器がひとたびバランスを崩すと、大量に流れている血液が混乱してうっ血がおこり、こうっ血が腰の冷えを生み、冷えがさらに子宮や卵巣の機能低下を招いて周辺の血液循環を悪化させ、うっ血を増加させるという悪循環に陥ってしまします。
B貧血、低血圧
血管に問題がなく、静脈血のうっ血のない場合は、「貧血」あるいは「低血圧」が冷え性の原因として考えられます。貧血は血液量そのものが少ないため、または低血圧は血流に勢いが足らないため、末端にまで血液が十分に行き着かない状態です。このタイプの冷え性は、とくに手足などの末梢の冷えを訴える人に多くみられます。

ストレス

現代はストレス社会といわれるように、ストレスの種類や量が一昔に比べて増大しています。自律神経の中枢がある間脳の視床下部には、喜怒哀楽や本能をコントロールする神経の中枢があり、これが自律神経にも強い影響を与えています。過度に長期的かつ継続的に受け続けると、自律神経のうち、交感神経の興奮の状態が長く続くことにより、副交感神経とのバランスを崩してしまいます。このような自律神経失調の状態になると、からだは、外部気温の低下に対して、脳から体温回復のための適切な指令をおくることが出来なくなり(体温調節機能の低下)、さまざまな冷え性の症状が現れてきます。

身体的ストレス

睡眠不足、暑さ、寒さなど

精神的ストレス

不安、恐怖、怒り、悲しみ、失敗、挫折、苦痛など

女性ホルモン分泌不良

女性ホルモンと自律神経について

女性ホルモンの分泌をコントロールしている中枢は、自律神経中枢と同じく間脳の視床下部にあって、相互に密接な関係にあります。

<月経から排卵までの女性ホルモンによる体温の変化>

【女性が自律神経の崩しやすい時期】 初潮・出産・閉経

【症状】 頭痛・耳鳴り・目まい・不眠・イライラ・腰痛

このように女性ホルモンと自律神経は互いに影響し合いながら作用しています。女性ホルモンが崩れると、自律神経に影響して交感神経と副交感神経がうまく働かなくなり、人間に本来備わっている体温調節機能が低下し、冷え性の原因になります。

内臓機能低下

自律神経の失調と便秘と下痢

胃腸は他の臓器同様、自律神経のコントロール下にあります。胃腸の場合は、冷えによる機能低下が、すぐに下痢や便秘というかたちに現れます。尚、冷え性が改善されると、慢性の便秘や下痢の多くは解消されます。

<胃腸の吸収が悪く冷えを招くサイクル>

【要因】

季節に関係なくビールやジュース、アイスクリームなどの冷たいものを摂取することで、内臓内の温度調整機能の低下を招く場合など。